OOPS東京連絡所

シーバスレポート4   「本部視察団東京襲来!(低気圧編)」

 

2度あることは3度あると言うが、本当らしい。

思い出すとあの頃雨が多かったな・・・・ネットで「沖」を探していた。窓の外は雨。

そして「リベンジ」では雨にたたられ、映画「八甲田山」の有名な文句を思い出した・・・・

 

 その朝、会社の友人とその愛車グランドチェロキーに同乗し、湾岸道路へ走ること1時間。おとぎの国のお城が見えてきた。フロントガラスには時折雨のしずくがあたって砕け散っている。今月に入ってかなり久しぶりの雨だ。シリコンコーティングされたウインドーは視界を曇らせることなくばく進していた。

 舞浜の駅前に仕事仲間たちが集合している。今日は東京ディズニーランドで視察研修を行う予定だ。参加メンバーを引き連れて雨の中を右往左往する年齢不詳の集団は一種異様な雰囲気を醸し出していた。

 ここまでは「3度目」の雨とは繋がりが無い雨だったのに、無情にも「それ」は起きてしまった。

 

我が視察団はパークを半周し、いかだに乗って、トムソーヤ島に到着した。

「はーい皆さん、ここがトムソーヤ島です。ここのポイントはキャストの少なさで・・・・」

降りしきる雨の中で僕は一生懸命に参加者に説明をしていた。他のグループからの電話が時々なって、情報交換が行われている。

 今日1回目のパレードが中止になったらしい・・・・島流しになっているキャストに質問をしたら、しっかり無線で聞いているらしく、正確なインフォメーションだ。

 そこへ電話が・・・・「こちら静岡本部の朝倉です・・・・」と。

おいおい、OOPSがからむと何で雨なんだ?

 研修員は僕の会話に耳のサイズが3倍に膨らんでいる中、「両軸で投げる」・・・「京浜運河はまだ釣れる」・・「ルアーはいろいろ用意したほうが・・・」などの会話が続く。後ろではマークトゥエイン号の汽笛が「ボ〜〜〜」と鳴っている。良太君に聞こえたか?

およそ釣りとは縁の無い参加者には何のことだかわからないだろうと調子に乗ってしゃべり続け、良太君の仕事の関係で交信を終わった。お客さんが待っているらしい。

 「何で俺は雨男なんだ〜〜〜〜!!」と憤慨しながらディズニーランド視察研修中に、OOPS東京視察計画の概要の打ち合わせを済ませてしまった。

 

 内容は、どうしても東京のパチンコ店を攻略したい誠さんの強いご希望により、2班に別れてパチンコ攻略、京浜運河攻略が今回のテーマだ。(どうなることやら)

 

 あれから数回の電話で計画のディティールが詰まってきた。どうやら京浜運河では(東京の各所では)“湾ベイト”とか“クルクル”といったテールスピンジグが流行っており、東京連絡所としては情報に疎かったことを反省するばかりだ。釣り具店にはチョコチョコ行った方が良い。(慌てて買いに行ったことは言うまでも無い。)それにしても、浜名湖では漁多ONEでしか釣れない魚が、なぜ東京湾ではクルクルなんだろう?

 ラバジで、シーバスを釣る人たちもいるくらいで、「シーバス釣るにはこれしかない」などといった理屈を覆す人々がたくさんいる。だからシーバスはやめられないのか・・・・

 話を戻そう。良太君は一生懸命にボートや運河の情報を集め、僕は哲哉に連絡しながら宿の手配。結局、街で一番飲み屋が集中していて、パチンコ屋が目の前で、キャバクラの呼び込みが連立するいかがわしいビジネスホテルを予約した。(がっはっは!これでもか!) 

 そしてついにその日はやってくるのだが、その日の前日天気予報はこの冬一番の寒気の襲来を告げていた。

 「トゥルルルル・・・トゥルルルル・・・・ブッ・えー、こちら東京連絡所です。今どの辺でしょうか?・・・・」

「え?もうすぐ到着しますよ!・・・」

え゛?あ、あの〜こちらは哲哉が仕事の関係で、ちょっと遅れそうなんですよ・・・・」

「あ、そうですか?(え?なんだって?)じゃあ先に食事してますよ。(しょうがねーなぁ)・・・」

「宜しくお願いします・・・じゃあ、あとで・・・・ブッ」

出だしからこんな調子だ。本部役員の視察だというのにお迎えするほうの体制がイケナイ。これだから僕は出世しないのか・・・・?

 ともかく、今回お世話になる羽田ボートスタッフさんの桟橋前に集まることができた。

駐車場の関係と遅刻した関係で、思うようにブリーフィングができない。釣り組とパチンコ組みのそれぞれの思惑が交錯する中、釣り組の3人を乗せた「ベイフラット」は軽やかに運河を漕ぎ出した。

 試作艇(プロト)のため、いろんな開発秘話がうかがえる。魚探はとりあえずつけてあったり、バッテリーはビニールテープで繋いである。水抜き穴の高さ調整も未完で、浸水がけっこうある。よくあるバスボートの宣伝で、「端に乗っても大丈夫」というのがあるが、良太君の第一印象はそこにあったようだ。本当にレールに乗っても大丈夫だ。

 作成中の新艇を見学し、羽田空港の滑走路(入路)の誘導灯桟橋(勝手に命名)へ。

ジャンボジェットの「逆噴射音」にビビリながら放尿を済ませていると、(この冬一番の冷え込み)良太君にあたりが・・・・!?ロックフィッシュらしい。ショートバイトにわくわくしながら試乗は続く。

 

 おりからの風と寒さにめげている僕を尻目に波乗りを楽しむボートスタッフの亀石さんと良太と幸二。ビビッテいるのは僕一人の状態で、船の性能を確認している。これほどの波でこの速度を出せる船は他に無いんじゃないだろうか?(このクラスでは)亀石さんがまた最高に面白い人で、メンバーの威力を倍増させた。

 やばいことに荒れていて、ちょうど波のサイズとハルのサイズが同じくらいだ。亀石さんの操船技術が冴える。バウデッキにはしぶきはほとんどかかっていないようだ。いつもの和船ならどうだったであろう。船が空中を舞うと同時にみんなでヒューヒューいって楽しんでいる。この人たちは本当にアンポンタンなのだ。(試乗につき合った宿命か・・・・・)

有名とされるポイントに到着。倉庫や工場の名前でだいたいのエリアがわかる。鶴見翼橋をくぐっているので、ここは川崎側だ。こんなに早くここまで来たかと思いつつ実釣開始。良太君がここで黒鯛をゲットするわけだが、このときの船のポジションについて触れておきたい。

東京湾奥の運河には多数の工場施設が浮かんでおり、海の要塞級から桟橋までありとあらゆるストラクチャーになっている。柱には貝がびっしりついており、キープキャスティングでおなじみのTプロが何年か前にアメリカで味わったらしいラインブレイクを避けられない状況が目につく。(いまさらですがクラシック出場おめでとうございました)

船はハル幅ぎりぎりの柱の間隙にバウを突っ込んだ状態でデッキからジギングする良太の絵。スターンに陣取る僕からは世にも恐ろしい光景だ。おりからの波に煽られながらも絶妙のコントロールでホバーリングするわけだ。一瞬のミスが命取りになる。

話を戻しますが、2投目くらいだったか、いきなり快心ののヒット!「釣れたぞ!おい!釣れた!」叫ぶ良太。一同「オ〜〜!」・・・・亀石さんの「折れる折れる!」の声が・・・

しっかり忘れたランディングネットに後悔しながらもジグごと引っこ抜く良太。この船はハンドランディングもしやすいのだ。

亀石さんはかかってきた電話の相手に黒鯛の釣果を語っている。「30センチくらいの・・・・」僕なら迷わず「40くらいの」と表現するところだ。

やっぱりあとでわかったんだが40オーバーだった。スターンから見てもポットベリーな黒鯛。本当ははしゃぐところだが、「しまった!先に釣られた」が頭をよぎり、とりあえず相手にしないことにした。(しかしうまい奴はどこでも釣るよなぁ・・・まったく)

次々にポイントを回ってくれる亀石さん。釣りよりボートの性能を優先したガイドツアーは最終ポイントへ到着し、一同寒気に身をこごませながら喚起に溢れることになる。なんとシーバスの養殖場・管理釣り場(みたいな所)だ。もっとも少ししか釣りができないみたいだが・・・・・何しろ200や300の魚は軽くストックしていて、ルアーを喰われないようにするほうが大変な所だ。

(このポイントについて話が聞きたい方がいらっしゃるようでしたら、ご来店ください。きっと笑えます)

2度とできない体験をさせてもらい、一路桟橋へ。

すっかり暮れて寒さも極まってきた。さてパチンコ組の結果はいかに??

「運転手さん、環状7号で行ってください・・・」

「ハイハイ、還7ですね、料金は3万円になります。」

などと楽しい会話を交わしながら僕の住む街に到着した。運良く道路渋滞もなく、すばやい帰着となった。浜名湖からのお土産になんと生きているハゼを持ってきてくれていた。さらに、東京連絡所専用のユニフォームの配給があり、本部の威厳を感じさせられた。

パチンコ組みに連絡を取ると、5分5分と言ったところ。誠さんは少々負けているっぽい。「早く帰ってこないとお金なくなる〜〜〜〜!」

とにもかくにもパチンコ店で合流を果たした。精算を済ませ、さて食事をといった瞬間、スロットの台で小当たりをする良太。ここでも外道を釣り上げた。

 

さて、本命のみんなでそろっての夕食。僕の予想とは裏腹に酒の量が少ない。みんな正体を失うほどに飲みまくると思っていたのに、なんと幸二と良太は甘党だったのだ。

食事はことのほか盛り上がった。パチンコ組に例のポイントの事を話しまくり、店の名物の巨大おにぎりをほおばり、築地(トップページの僕の写真の背景は築地市場です)で取り引きされた刺身を喰い、何しろ時間との戦いの中で弾丸のようにしゃべりまくった。

宴会も終焉を迎え2次会に移るが、ここでも哲哉と誠さんは同盟を組んでいた。なにやらひそひそと話し合っている。と思ったら、良太君の「甘いものが無いと眠れない」の一言に、思い当たる甘味処を思案したが、久しく中学生とデートしていない僕の辞書には甘味処の地図は無かった。運良く目の前にあったコージーコーナーでケーキをゲットし、ホテルで2次会となった。もちろん誠さんたちはいかがわしい夜の街に消えた。(2週間ぐらいしてから、抗生剤を飲んでいたら間違いなくその夜の出来事の証拠なので注意して見守りたい。)

ここから信じられない方もいらっしゃると思いますが、事実だけを書きますので心してお読みください。

なんとコージーコナーでゲットしたケーキの数は16個!そのうち1個僕が食べたから2人で15個を食べたのだ。証拠写真も撮ってあります。夕食後にコージーコーナーのケーキを6〜7こ食べる奴は今まで会ったことが無い。見る見る間に減っていくケーキに恐れおののいて逃げ出すように家に帰った。

どうです?やっぱり信じられないでしょ?え?いつもこうだって?・・・・・・

言葉もありません。

 

視察団の東京の夜はこのようにして更けていった。

そして、みんなが爆睡している間に神様がとても素敵なプレゼントを用意してくれた。クリスマスにはちょっと早いが、これも神のなせる業。

それは午前3時ごろから始まって、翌日の1日を白い世界にする空からの贈り物だった。

朝起きるとても静かだった。僕が出勤する頃には一面の銀世界。東京にこれほどの雪を降らせるのは10年ぶりだとTVニュースで言っている。通勤途中、昨日停めた駐車場を見ると良太君の車は地面の一部になっていた。・・・・・・

これでまんまと本部に仕返しをしてしまったのだ。思えば苦節半年間、シーバスにそっぽを向かれ、雨にたたられ頑張ってきたが、こんなところで大雪に遭遇するとは・・・

 

良太君が太平洋高気圧なら、僕は熱帯低気圧。2人が出会うとき、それは嵐の気圧配置なのだ。

 

時刻は2時を回り、そろそろ本部に到着を予想していると、電話が鳴った。

「10時には出発したのに、まだ茅ヶ崎ですよ〜〜!今日中に帰れんのかなぁ・・・・」

唖然とした。東名はチェーン規制で通れず、一般道はおりからの雪で大渋滞。これでは車に乗る気が萎えるほどだ。来てもらうプレッシャーって、こういうものなんですね。

事故もなく帰着されたことを心から喜んでいます。

 

こうして、嵐の本部視察団は帰っていった。東京には道端に残雪と、僕たちの手元にオリジナルユニフォーム。仲間たちには美味しいハゼが残った。

そして何より最高にエキサイティングな楽しい思い出が深く刻まれた・・・・

街にはクリスマスのオルゴールが響き、2002年の最後を惜しむようにイルミネーションが輝いていた。

 

有難う2002年。そしてOOPS  沖軍団  また来年お会いしましょう!